「M2M型動的無線通信ネットワーク構築技術の研究開発」「漏洩同軸ケーブルによる高密度配置リニアセルMIMOシステムの研究開発」等

混雑した状況でも快適にアプリケーションが動作する無線ネットワーク

2.4GHz帯のように用途や方式が異なる複数の無線システムが混在する環境で、多数の無線機器を収容し、かつ総合的に高いアプリケーション品質を提供する自律型無線通信ネットワークの確立を目指しています。本研究では、「QoE」と呼ばれるユーザの体感品質に着目し、周囲の無線環境を把握するスマートセンシング技術、QoE推定技術、QoEを最大化する無線リソース制御技術を開発することで、混雑した状況でもそれぞれのアプリケーションが快適に動作する無線通信システムを実現します。このようなシステムは、災害等の非常時や医療現場等において自律的かつ動的に運用する機器間(M2M)無線通信システムとしての応用も期待されます。

多数の無線機器でアプリケーションが快適動作

漏洩同軸ケーブルを利用し高速・安定通信を実現するリニアセル無線アクセス技術

新幹線向けインターネット接続サービスや地下街・トンネル等での携帯電話の不感対策として、漏洩同軸ケーブル(LCX)が使用されています。LCXはケーブルに沿ってリニアセルを形成し安定した通信が可能という特長がありますが、増加する通信量に対応するためのケーブル敷設や維持コストの低減が課題となっています。そこで、ケーブル1本分の敷設コストで2~4倍の通信容量を実現することを目標に、高性能多芯LCXを用いたMIMO技術や、安定した通信品質を提供するために必要となる高精度位置検出技術の研究開発を進めています。LCXを用いたリニアセル技術は、従来の用途に加え、多数の端末が高密度に存在する環境での新たな形態の近距離無線通信システムへの展開が期待されています。

LCXを用いたリニアセル無線システムと利用シーン

無線システムの利用状況調査とコンサルタント業務

ISM帯等の利用の高まりに伴い、この周波数帯域を複数の無線システムでいかに共有するかは非常に重要な課題になっています。
波動工学研究所では無線システムの知識、シミュレーションおよび測定ノウハウをもとに無線システムの利用状況を調査し、これをもとにしたコンサルテーションを行なっています。

典型例である2.4GHz ISM帯は、ホットスポットサービス、スマートフォン、タブレットPC、モバイルルータ等の普及により、その需要が益々高まっているため、この周波数帯をより良く利用するための調査等を行っています。まず無線信号を周波数軸と時間軸から同時に観測するスペクトログラムを測定します。さらに無線機間で伝送されるトラフィックを観測し、電波の利用状況を総合的に見える化します。これらの結果から周波数の利用効率、無線システム間の干渉、ユーザスループット等を調査します。
このようにして現状を把握し、設置者や利用者の異なる複数の無線LANやBluetooth、コードレス電話、電子レンジ等が共存する環境での通信品質の向上のための助言や提案を行っています。

大学病院における 2.4 GHz 帯スペクトログラム測定


上記以外に受託しているプロジェクト
・戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)
 「超高速移動時の無線通信速度向上に向けた受信点移動型等化技術の研究開発」
 「能動的3次元通信エリア制御を用いた複数無人航空機による同時観測技術の研究開発」


過去のプロジェクト
≫非線形マルチユーザMIMO技術の研究開発
≫同一周波数帯における複数無線システム間無線リソース制御技術の研究開発(DSA)
≫空間軸上周波数利用技術の研究開発(SDM)


ATR 波動工学研究所